Notelets

誰かのために何かを作る日々の断章。試論。仮説。フィールドノーツ。

朝の読書と、昼間・夜の読書について

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読書は、どの時間にするのがいいのだろうか?

夜、ひとり静かに読書、というのはステレオタイプかもしれないが納得できるイメージ。日中だったら、移動の時間だろうか。朝は……みなさん朝に読みたいと思うのだろうか。

個人的には、朝に読むという習慣はない。

世の中的には「朝の読書運動」という具合で、朝に本を読むことを薦める向きもあるようだ。確かに朝はその一日の流れを決める要素があるかもしれない。朝に読書すれば、なんとなく落ち着いた、整った日を送れそうな気もする。それに毎朝のルーティーンとすれば、「読書習慣」が身につくかもしれない。

しかし個人的には、あるていど歳をとって、朝がつらくなくなると、朝は一日の中で一番頭が冴えている時間だと感じるようになった(当社比)。ということで、その時間は、なにごとかを考える時間に使いたい。読むという受動的なタスクではなく、何かを生み出したり答えを導いたりすることに集中したい。本を読んでいる場合じゃない。読むのはそのあとで。

▼昼間に読むこと

しかし、日中に読めるかといえば、そうでもない。

平日はもちろん仕事がある。自分がやらなくてはならないこともある(読書とは関係がある仕事でもあるが、読書そのものが仕事というわけでもない)。「あの件どうなっているかな」「進行中のこの件、大丈夫だろうか」「あの提案仕事、気が重い」「ミスった」……とかなんとか、気になることも多い。集中しづらい。

仕事に近い読書なら、それはやらなくてはいけないタスクだから、まあ読めないことはない。「スキャン読み」というか、必要なことを抽出するような読書はよくしている。しかし、「現実」から少し離れたような読書は……難しい。自分がまったく不案内なテーマを、集中して読み込むようなことも難しい。

週末の昼間なら、まあ読める。しかしつまりその時間は自由が利く時間であり、何か買い物とか魚釣りに行くとか……別の行動の可能性もある時間だということも言える。気が散る原因になるかもしれない。

▼夜ならどうか

夜はもちろん読める。日中の実務的な要素から解放されて、さらにその他にできることも少ないから、集中しやすい。

しかし、家人のこともある。子どもが騒ぐとか配偶者とのコミュニケーションが……とかなんとか。多くの大人は、そういう夜を過ごしてるのではないか。

▼再び、朝の読書について

じゃあ朝なら読めるのか。まあ確かに読める時間かもしれない。それなりの年齢になると、早起きになっていくことが多いと思う。朝がつらくなくなる。よって、その時間に読むのは悪くない。

(若い人にとっては読書なんかより少しでも長く寝ている方がいいことも多いだろうから、例えば小学生に「朝の読書のすすめ」と言っても無理筋、と思っちゃうけど、どうなんだろう。)

個人的には、前述の通り、朝に読書をすることは多くない。あるとすれば、本当に難しい本に取り組む時。自分がまったく知らない世界で、かつ文章やメッセージが難解なもの。例えば哲学の本なんかがそれにあたるだろうか。そういう本に集中して取り組むときは、朝に読んでいる。(そして年々、そういう時間は増える傾向にある。)

こうして振り返ってみると、全体としては「一日のなかで本を読む時間・タイミングなどない」ということになる。世俗の人として、あれこれ責任ややらなければならないことがある。自分の時間を持つのはなかなか贅沢なことだ。

 

 

▼じゃあいつ読めばいいのか?の別の解

これまでの駄文で「いつ読むのがいいか」という疑問を想定していた。しかし、実は「読んでしまう本とはどういうものか」を探すのがいいのではないか、とも思う。

つまり、いつ読むかではなく、何を読むか。

それだけおもしろい/興味深い/楽しい/続きが気になる/役に立つ本なら、時間など気にせずに読んでしまうはずだ。能動的に読めば、身にもつくはずだ。そういう本を探せ。

……とは言え、そういう本をどう探すのか? 究極的には、多くの本に目を通さなければならない。今、自分が欲しい本を探索しなければならない。ということは、読書しなければならない。しかしそんな時間・タイミングはない。

……と、ループしてしまう :-(

言いかえれば、読むには、無駄を受け入れなくてはならない。これは、忙しいコスパ社会には難しいことなのかもしれない。本の売り上げは年々落ちているようだが、それもしかたがないことなのかもしれない。

読書の効用はマイルドだし、遅れて効いてくる。おもしろYouTubeを見て笑ったり、SNSでリアクションをもらってドーパミンを出したり、ソシャゲに課金してインスタントな万能感を得たりするのとは違う(そういうことも必要なのだと思うが)。

それを受け入れて、乱読してみる。あれこれ読んでみる。金を使ってみる。時間というコストを支払ってみる。朝昼晩などこだわらず、いつでも少しでも読んでみる。もし読書という沼に分け入ろうとするのなら、つべこべ言わずに読みやがれ。……そういうことなのではないか。